玉ねぎの基礎知識

玉ねぎは特に日本では非常に多く利用されている野菜のひとつだと思います。一般的に食材となっている部分は根ではありません。これは「鱗茎・りんけい」と言って、葉の根元が養分を蓄えて丸く太った部分です。

 

このように鱗茎部分を食べる野菜としてはニンニクやラッキョウがあります。もちろん、世界中でも大いに利用されているわけですが、栽培の歴史は非常に古くて、既にエジプト王朝時代(紀元前)には、ニンニクと共に労働者に配給されていたとされています。

 

ここからヨーロッパの地中海沿岸に伝わり、東ヨーロッパ(バルカン半島諸国、ルーマニア)ではもっと辛味のある「辛タマネギ群」も作られ、逆に南ヨーロッパ(フランス、イタリア、スペイン)では辛味のあまりない「甘タマネギ群もが作られました。

 

16世紀には両方ともアメリカに伝わり、更にいろいろな品種が作られていったのです。ちなみに中央アジアが原産とされているのですが、野生種は発見されていません。それになぜか原産地から東側のアジアには伝わってこなかったのです。

 

江戸時代に長崎に伝わったものも観賞用でした。食用としてはかなり歴史は浅く、札幌で1871年(明治4年)に試験栽培され、その後札幌農学校教官(ブルックス)によってやっと本格的な栽培が始まったのです。しかし今や、普段の食卓では欠かせない食材となっているわけです。