玉ねぎの注目成分

前述の通り、あえて栄養成分として目立っているものを挙げると、糖質がやや多く、果糖、ブドウ糖、ショ糖がほぼ同量ずつ含まれている程度です。

しかし玉ねぎには血をサラサラにするという特徴的な効果があります。この働きを持つ成分が硫化アリル(アリシン)という、玉ねぎと共に長ネギやニンニクなど、香りの強い野菜に含まれる香気成分です。これは生の食材に含まれるアイリンという成分が分解されてできます。玉ねぎを切った時に涙がでるのもこの成分が含まれているからです。

硫化アリルは血液が凝固してしまうのを防ぎ、血管が詰まる状態となる「血栓」も防ぎます。つまり、最近よく言われる「血液をサラサラに」というのがこの効果なのです。この作用によって、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脳血栓、脳梗塞などの抑制、コレステロール増加の抑制にも効果が期待できるのです。更には、疲労回復、精神安定にも効果があります。

 

硫化アリルはビタミンB1と結合するとアリチアミンとなり、これが体内にビタミンB1を長く留めることになり、ビタミンB1の吸収を促進してくれるのです。ビタミンB1というのは、糖質を即座にエネルギーに変換する栄養素なので、疲労回復に役立つのです。ビタミンB1を豊富に含む豚肉、ハム、かつお、大豆などと一緒に料理するとより効果が期待できます。

そして、硫化アリルは胃の消化液分泌を向上させ、胃のはたらきを改善するので、食欲増進という効果もあります。ただし、硫化アリルは加熱すると消失してしまうので、オニオンスライスなど生食にするのが一番良い方法ということになります。